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2026.09.01

バイオリン

f 孔の話

f の字の横棒

楽器の表板に開けられた、アルファベットの f の字型をした二つの音響孔 ―― f 孔

「これ、f じゃなくて S に見えない ?」

確かに f 孔は S 字のような形をしていますが、よく見ると中央付近に小さな横棒のような刻みがあります。
だから、S ではなく f 孔なのです。そしてこの小さな刻みには、大切な役割があります。

それは、駒を立てる位置の目印。

左右の f 孔を見ると、小さな矢印が

Left,And,Right,Arrow,Icons,Indicating,Meeting,Point,Or,Collision.

と、向かい合っているように見えます。駒は、その中心に立てるのが基本です。

実は、この小さな刻みが、時として楽器の健康状態や寿命に大きな影響を及ぼすことがあります。

通常、左右の刻みは対称の位置にあります。しかし長い年月の間に木材が変形や摩耗をしたり、また、もともとの製作精度に問題があるなど、左右の刻みの位置が微妙にズレている楽器があります。

そのズレは、ほんの数ミリ。

けれど、その数ミリが厄介なのです。このような刻みが左右でズレている楽器に駒を置けば、本来の位置から斜めに外れてしまいます。

では、左右どちらの刻みに合わせるべきなのか …

実は、これに絶対的な正解はありません。
楽器の状態を見て判断することになりますが、調整する人の考えは、必ずしも一緒とは言えないのです。

駒は、調弦や気候の変化などで少しずつ位置が動きます。

そのたびに誰かが位置を修正する ――
その作業が繰り返されるうちに、駒と表板の接触部分へ少しずつ無理な力が加わっていく ――

その結果、新しい楽器では普通の範囲を超えたニスの傷みが現れ、古い楽器では何十年の歳月をかけて、表板の変形として現れるのです。

あの小さな刻み ——

f 孔の横棒は、単なる飾りではありません。まさに、楽器の運命を左右する小さな道標なのです。

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